建売住宅と違って注文住宅は、値引き交渉に気を付ける必要があることをご存じでしょうか?
建売住宅とは、すでに建てられた住宅を販売しているもので、注文住宅は、お客さんから注文を受けてから建てる住宅です。
注文住宅の値引き交渉には、どのようなリスクが潜んでいるのでしょうか?
注文住宅の過度な値引き交渉は避けるべき3つの理由
家の値引きには、していい値引き交渉と、してはまずい値引き交渉があります。これは、どういうことでしょう?
注文住宅を購入しようと考えているお客さんにとって、「家」はとても価値のあるものです。
価値のあるものをできるだけ安く手に入れようと考えてしまうのは、ある意味しょうがないことではあります。
ですが、何かを削ることによって価格が安くなる「値引き」はしてはいけません。必要なクオリティを削る値引きは、後々購入者自身が後悔することになります。
例えば、強引な値引き交渉をすることで、次のようなトラブルが考えられます。
家の質が下がる
メーカーの予算を圧迫するほどの強引な値引き交渉は、通常であれば通らないものなのですが、販売不振が続くような時期では、無理を通して値引きに応じるところもあったようです。
そういう値引きをさせてしまうと、まず一番最初に削るのが材料ということになります。
建材の質が落ちると、当然、長期的な耐久性が落ちてしまいますので、結果、早期の段階でリフォームが必要になる事態が発生しやすくなります。
今は、基準が厳しくなっているため、よっぽどのことが無い限り建材の質を落として住宅を建てるようなことはなかなか起こり得ないのですが、無理を通してしまうと、そういうリスクも起こり得るということを念頭に置いて交渉をすることが肝心です。
工事が雑になる
無理に値引きを通してしまうとメーカー側も利益を出さないといけないため、どこかにしわ寄せがくることになります。
一番先にコストは抑えられるのは建材ですが、最近では耐震基準が厳しくなっておりメーカー側もそこおろそかにすると欠陥住宅を販売することになるので、そこを削るのではなく、下請けの工事業者に負担を回すことになります。
下請けは、予定よりも安い単価で工事を受注することになるためそれだけ人件費を削減することになり、その結果、工事が雑になってしまうことも懸念されます。
メーカーが一貫して、工事業者を教育してるようなところであればいいのですが、下請に基礎工事や躯体工事をやらせているようなところでは、できるだけ安い業者に発注することになりますので、十分な注意が必要です。
担当者(会社)と関係が悪くなる
無理な値引きを通そうとすると、やはりメーカーの担当スタッフとの関係性も悪くなる場合があります。
スタッフもやはり人間ですので、強引な値引きをされてしまうと、きちんとした対応をしてもらえない可能性があります。
利益の出ない注文をして来るお客さんは、ある意味お客さんではありませんので、対応が後回しになったり、品質を下げても格安の下請け業者に発注を回してしまうような事態になりかねません。
ですから、適正な値引き範囲というものを購入者側も、ある程度理解しておく必要があるわけです。
まとめると
過去によく見る欠陥住宅や手抜き工事は、メーカーが利益をどうにかして抜いてしまおうと考えた結果、起こった事態です。
建築基準が厳しくなった現在でも、そういった事態に巻き込まれないとは限りませんので、建物の品質を削ってしまうような、強引な値引きは控えないといけません。
注文住宅の”賢く上手な”値引き交渉のやり方
強引な値引きは、家のクオリティー自体に問題が生じてしまうのでNGです。とはいえ、メーカーの言い値で購入するのは、正直勿体といえるのも現実でしょう。
メーカー側は、できるだけ利益を乗せるのが仕事でもありますので、そこは可能な限り適切な価格まで抑えるよう交渉する必要があります。
では、交渉の仕方はどのようにすればいいのでしょうか?
複数社と交渉を進める
強引な値引きはNGだとしても、適正な値引きはOKです。
業者によっては最初に高めに見積もってくる場合もありますので、そういったところをいかに見極めるのが肝心となってきますそのためには複数のメーカーに見積もりをお願いすることがおすすめです。
複数社の見積りやプランを比較することで、住宅価格の相場が分かってくるようになります。
これは決して業者に他社の見積りを見せて競りを行わせるのではなく、購入者自身が相場を把握するために行うことです。
複数社に見積もりをお願いすることで大体どのメーカーが割高でプランを提供していて、どのメーカーがお得なのかが、すぐに分かるようになってきます。
メーカーの注文住宅プランを、見極める目を鍛えるのに非常に有効な方法なので、ぜひ試してみてください。
ちなみに見積もりは購入を決定していなくても出してもらうことができますので、遠慮なく相談してみるといいでしょう。
そこで強引に購入を迫ってくるようなメーカーとは、あまり取引をしない方がいいかもしれません。
最後まで気持ちよく相談に乗ってくれる業者を選ぶようにしましょう。
交渉のタイミングははじめと最後
メーカーと交渉する時には最初に予算を提示しておくことが肝心です。
例えば「3000万円まで」と予算を伝えた場合であれば、それに見合ったプランをメーカーは考えやすくなります。
逆に「いくらでできる?」という風に、金額の設定をメーカーに託してしまうと、なかなかこちらの希望に沿った見積もりが、返ってきにくいのが現実です。
漠然とした予算を伝えるのではなくやはり明確に希望を伝えて行った方が、交渉もしやすくなってきますので、事前に家族とよく相談しておくことが肝心です。
予算以外にも、希望する内装やオプションなどがあれば、メモをしておきメーカーへの相談の時にスムーズに伝えられるようにしておけば、メーカースタッフも希望を汲み取りやすくなります。
後はいよいよ契約を結ぶ段階になった時も交渉の絶秒なタイミングです。
メーカー側としては、契約目前になるわけですので、ここでお客さんを逃がしたくないと考えているはずです。
無理な値引きは禁物ですが、後少し安くしてもらうのであれば、このタイミングに端数を切ってもらう等の交渉をすると通りやすいでしょう。
値引きの目安
どの程度までなら、値引きをしてもらっても支障が出ないのでしょうか?
値引きの目安を知るためには、やはり先ほども説明したように複数のメーカーから見積りを貰って、相場を知ることが大切です。
一社の見積りを見ただけでは分からないことでも、複数社の見積りを比較してみれば、どこが相場より高いのかが分かるようになり、値引きの目安も分かってくるようになります。
良い値引きの例は?
強引な値引きはNG。では良い値引きの例とはどんなものなのでしょうか?
例えば、メーカー側が最初から提示してくる値引きは、当然のことながら無理のない値引き設定になっていますので問題ありません。
また、適正価格を購入者自身が見極めた上で行う値引きも、積極的にやるべきでしょう。
あとは、契約直前に料金から端数を切って貰うというのもごく一般的な値引き手法なので、やるべきでしょう。
こんな値引きには注意!
値引きの仕方によっては、注文住宅特有のリスクが生じてしまいます。それは、建物のクオリティに影響が出てしまうということです。
注文住宅の価格を適正価格に寄せるための、値引き交渉は積極的にやるべきです。
ですが、「必要なものを削らせる」過度な値引きを誘発させるような交渉は控えた方がいいでしょう。例えば……。
相見積もりを元に値引き合戦させた結果の値引き
他社の見積もりを提示して、値引き合戦をさせた結果の値引きはあまりおすすめできません。
これは建売住宅の時には有効な交渉方法なのですが、注文住宅の場合だと材料費や人件費で帳尻を合わされる場合があります。
つまり材料費や人件費ケチられてしまうということです。
最近は規制が厳しいので、材料費を過度に削る工事の注文は受けないようにはしているはずなのですが、100%ないとは言い切れません。
他社の見積もりを取るのは、注文住宅の価格相場を把握するのにはいいのですが、相見積もりで競りを行わせるのは止めておいた方がいいでしょう。
根拠のない値引き
注文住宅を購入する時には、相場をよく知っておくことが肝心です。
メーカーによっては、特別価格として最初から値引き額を提示して売り出しをしていることもありますが、予め割引をしないと売れないということは、何かしらのデメリットが隠れている可能性があります。
例えば、値引きといいつつ相場価格で比較してみると、それほど安くなっていなかったり、標準仕様の設備のグレードが下げられていたりと、どこかしら削られて帳尻を合わされているケースも稀にあります。
値引きを提示している物件は、勢いで購入してしまう前に他社のプランと必ず比較をしてみてそのプランのクオリティを精査する必要があるでしょう。
契約を急がせる値引き
メーカーとしては決算前などは売上に影響するため、できれば早く契約を取りたいと考えている所もあるでしょう。
そういう時期には、今日契約すれば、いくらか値引きが可能だと言う、期間限定商法でセールスをしてくるケースもよくあるパターンです。
それでも物件が気に入ったものであるのなら、問題はないかと思われますが、一生に一度の買い物ですので勢いで契約を決めてしまうような買い物の仕方は、できればやめておいたほうがいいと思います。
いくら価格が安くても、自分の好みから外れてしまう住宅を買うのは、まことにもったいないことです。
注文住宅のメリットは、購入者のライフプランに合わせた間取りやオプションを組み合わせられるというところです。
値引きにつられて急いで購入してしまうのは、このメリットを潰してしまうことになりますので要注意です。
オプションをサービスにする契約
オプションをサービスにしてくれると聞くと、ついつい決めてもいいかなと思ってしまいがちですが、大事なのは間取りであり建物そのものです。
よくあるケースとしては、今決めたら、エアコンを2台無料にするといったような営業の仕方です。プランの価格を他社の見積もりとくらべてみましたか?
エアコン代が既に工事費に上乗せされているのにもかかわらず、無料でつけてもらえるかのような勧め方をしてくるところもありますので注意が必要です。
オプションがサービスになるその契約は、果たして本当にお得なのかどうか?それをよく調べてから決めないといけません。
まとめると
ここで紹介したケースのように、一見するとお得な値引きに見せかけて、実はさほど安くなっていないようなケースは、よくあるパターンです。
そういうのに惑わされないよう、自分が注文しようと考えているグレードの住宅の価格相場を、大体でいいので、調べておくことが肝心でしょう。
値引き交渉以外に注文住宅を安く建てるコツ
無理な値引き交渉しなくても、注文住宅を安く建てるための方法はあります。それは、注文住宅をメーカーに注文する「タイミング」を見計らうということです。
次に紹介する方法は、交渉が苦手な人でも試せるやり方です。
決算の時期を狙う
決算前は、営業所の売上げを押し上げる追い込みの時期ですので、どこも顧客の獲得に必死になっています。
こういう時期を狙って相談にいくと、好条件のプランを提示してくれやすいのでおすすめです。
ただし、無理に早く契約を迫ってくるような業者とは、取引をしない方がいいでしょう。
可能な限り親身になってプランの変更や、打ち合わせに応じてくれるスタッフがいるメーカーを選ぶようにしましょう。
事前に相見積もりをとる
相見積りをとるのは業者に見せて価格を競り合わせるのではなく、あくまでも自分が注文住宅の相場を把握するためです。
価格を自分で把握しておけば、値引き交渉もしやすく、気に入らなければ他の業者を選ぶこともできます。
相見積もりをとることに抵抗がある人もいますが、これは絶対にやった方がいいことです。
ただメーカーのスタッフの中には見積もりを出した段階で、「契約する流れ」の雰囲気を醸し出してくる人もいますので、その押しに負けないようにすることが大事です。
事前に、自分はじっくりとプランを選びたいということをメーカーのスタッフに伝えておき、見積もりを出してもらうのがいいのかもしれません。
タウンライフ家づくりを利用
家づくりに必要なプランニングを無料で依頼できるサイトがあります。
「タウンライフ家づくり」という住まい専門のポータルサイトで、ここを利用すれば、ネットで間取りプラン、資金計画書、土地探しまでを各業者に一括依頼することができます。
複数の業者に一括で依頼できるので、費用相場を把握することができ、何よりハウスメーカーや工務店に足を運ばなくてもプランニングがもらえるのはとても便利です。
特に、間取りを自宅に居ながらネットで送ってもらえるので、建てる家のイメージが湧きやすくこの間取りに対しても各業者から複数送られてきますので、家族でじっくりと気になるプランを選ぶことが出来ます。
あと、具体的な費用も資金計画書で送ってもらえますので、トータルの費用を事前に知ることができます。
メーカーや工務店の窓口に足を運んで、見積もりだけもらうのは抵抗を感じる人も多いので、そういう人に大変便利なサービスだと言えます。
また、土地探しについても各社が提案してくれます。
最近では、ご近所トラブルの問題がTVでも話題になりましたが、そういったトラブルを避けるために、近隣環境謎に関する情報も詳しく教えてくれますので、大変助かります。
全国600社以上の注文住宅会社や工務店がタウンライフ家づくりに登録しているため、速やかにお気に入りの注文住宅プランを見つけることができるでしょう。
参考
まとめ
注文住宅は、建売住宅と違って発注してから建てるので、値引き交渉は適正に行う必要があります。
そのためには、購入者自身が注文住宅の価格相場を知っておくことが大事で、今回説明したように複数社からの見積りをもらうことが、住宅価格の相場観を養う意味でも大事です。
失敗しない注文住宅選びのためには、まずは、各業者が提案するプランニングを集めてみて、比較することから初めてみるといいでしょう。