在来浴室と言うのは、自由な大きさにモルタルやタイルで空間をつくり、防水処理を施して浴槽やシャワーカランなどを設置した昔ながらの浴室の工法です。
しかし、ここ近年では、4方をパネルで囲う規格サイズのユニットバスが主流になってきました。
その理由は手入れのしやすさや断熱性能にあり、在来工法の浴室からユニットバスにリフォームをする方も多いのではないでしょうか。
それでも在来浴室はなくならない魅力やリフォームにかかる費用、注意すべき点はどのようなものでしょうか。
在来浴室リフォームには2パターンある
在来工法の浴室をリフォームする場合、選択肢は2パターンあります。
ユニットバスへのリフォームと在来工法のまま新しい浴槽にしたりするリフォームです。それぞれの特徴はどのようなものでしょうか。
ユニットバスへのリフォーム
在来工法の浴室をユニットバスにリフォームする場合、既存の床や壁は壊さないで内寸に入る規格のユニットバスを入れる方法があります。
既存のタイル壁や床を壊さないのでユニットバスへのリフォームでの費用的には一番安価に抑えられるでしょう。
しかし、ユニットバスというのは通称1616や1818などと呼ばれ1坪タイプ、1.25坪タイプなど規格が決まっています。
既存のタイル壁の内側の有効寸法が規格サイズに合わなければ、タイル壁を撤去しなければなりません。その場合費用も工期も少し多くなってしまいます。
在来工法のままリフォーム
在来工法の浴室の良い所はサイズを自由に作れるところです。また大理石や檜など浴槽の材質も好きなものを選択することができます。
広い空間や特殊な形状の浴室の場合はユニットバスを入れるよりも在来のままリフォームをすることが多いでしょう。
そのような場合タイルを貼り替えたり浴槽を交換したり、水栓類を新しく取り替えたりするようなリフォームになります。
※ここでは、在来工法の浴室リフォームについて説明していきます。在来浴室からユニットバスへのリフォームは以下をご参考ください。
在来浴室リフォームにかかる費用の相場は?
在来浴室のリフォームでは具体的にどのようなリフォームで費用はどれくらいかかるものでしょうか。
浴槽や水栓の交換:11.5万円~
壁や床のタイルはそのままで、浴槽やシャワーカランなどの水栓金具のみを取り替える場合の費用は浴槽やカランの商品代を繋ぎこみの水道工事が主になります。
浴槽の価格は選択するものにもよりますが、FRPで形成された浴槽なら5万円~、カランはシンプルな2ハンドルのもので1,5~2万円、撤去と設置費用に5~7万円ほどの費用がかかります。
浴槽についてはタイルとの接着面がありますので、新しい浴槽の形によってはタイルの補修工事も伴ってきます。
浴槽や水栓に加えタイルの貼り替えを行った場合:50万円~
浴槽や水栓の交換とさらに床壁のタイルの貼り替えを行った場合は浴室の広さにもよりますが、タイル工事に10万円~30万円の費用がかかります。
さらに浴室の出入りドアを交換したり、窓や照明も取替えた場合は10万円~20万円の費用がかさみます。
在来浴槽をタイル貼りでフルリフォームした場合はトータルで50万円~200万円ほどが目安になります。
浴槽が高価なものだったり、壁や床を総桧にすると費用は300万円、400万円とかかるでしょう。
既存のタイルにパネルを重ね張りする方法:15万円~
ユニットバスにすると有効寸法が狭くなったり、サイズの問題でユニットバスに出来ない場合タイル面をパネルで上張りする方法があります。
浴室全体をツルンとした目地のないパネルで覆うと掃除もしやすく、冬場の寒さも軽減されます。
この場合の費用は15万円~50万円で広さや貼るパネルの種類によって価格は変動します。
在来浴室リフォームの工事内容は?
在来浴室のリフォームを行う場合の工事内容をご紹介します。
タイル壁を別の材質に変更する
タイル壁をパネルや檜などの木材に取替える場合は既存のタイルを撤去し、新たな材料を取り付けるかタイルの上から重ね張りをするかになります。
タイルの下地はモルタルでるので、タイルを撤去するとモルタルの表面も荒れてしまい補修が必要になります。
タイルの上から重ね張りをする方が施工は簡単ですが、浴室内の有効寸法が狭くなってしまいます。
浴槽の取替え
既存の浴槽を撤去し、新しい浴槽を取り付ける場合壁面との取り合い部分の補修が必要になります。
壁も新たな素材でリフォームをする場合は壁の施工が終わってから浴槽を取り付けます。浴槽の形によっては排水位置が変わりますので配管の仕込みを事前にする必要があるでしょう。
水栓金具の取替え
シャワーカランや浴槽への落とし込み用の水栓を新しくする場合、給水管は壁面にあることがほとんどですので、新しいカランの大きさによっては撤去したカランの取り付け跡の補修が必要になります。
床材の取替え
床材がタイルの場合はタイルを貼りかえるか、木など別の素材で施工しなおすことができます。
床の場合は排水口に向かって勾配をつけなければ水の流れが滞るのでレベルを確認しながら施工をしなければなりません。
在来浴室リフォームの工事期間はどれくらい?
上記に上げた主な工事内容に沿ってそれぞれの工事期間をみてみましょう。
ほとんどの場合、長くても1日強あれば終わります。例外として、基礎から工事した場合は、2~3日かかるケースもあります。
床、壁の撤去にかかる日数
既存の床や壁を撤去するのは広さにもよりますが約1日で撤去し終えます。
基礎をし直すとなると土間をはつったりしなければなりませんので、更に1日多めにかかるでしょう。基礎のモルタル工事は施工から乾燥までで1~3日ほどかかります。
新たな材料で床、壁を施工
撤去した床や壁を新しく施工する場合は下地の状態によって日数は変わりますが、タイルの施工であれば1~3日、木材であれば1、2日ほどで設置ができるでしょう。
シャワーカランの取替えにかかる工事期間
シャワーカランなどの水栓金具は給水位置を移動させたりする必要がある場合は壁材を撤去した時点で配管の仕込みをしておき、取り付けは壁が仕上がってからの施工になります。
それぞれ時間にすれば半日もかからない工事ですが、まとめて出来ないところがポイントです。
浴槽の設置の工事期間
浴槽の設置のみの作業は半日ほどで終わりますが、浴槽のサイズによって浴槽の袖にタイルで壁を作ったりする必要があります。
壁にぴったりと納まる浴槽でも壁との取り合い部分はモルタルで固定しタイルで接着することがあります。これらの工事にはモルタルに1日、乾燥に1日、タイルの施工に1日ほどが目安になります。
在来浴室リフォームの注意点は?
在来浴室のリフォームで注意する点や見落としがちなポイントはどのようなことでしょうか。
追加工事が発生しやすい
在来の浴室をリフォームする場合撤去してみてわかることがあります。躯体に水が漏れていて床下が湿っている場合はシロアリが発生していることがあります。
その場合はシロアリの駆除と防蟻の工事が追加で発生します。浴室にシロアリが付いていると家の他の部分にも被害が出ている場合がありますので、浴室だけでなく家全体をチェックし、必要であれば防蟻工事を行っておきましょう。
工期が長い
在来浴室リフォームはユニットバスのリフォームと違い工事期間が長くなります。その間入浴はできませんので外に入りにいかなければなりません。
夏の暑い時期や冬の寒い時期は入浴のために外出するのも施主の負担になり長引けば長引くほどストレスも感じやすくなります。
浴室のリフォームでも在来浴室の場合はなるべく気候の良い時期を選らんで、リフォームすることが負担を減らすコツです。
在来浴室リフォームのメリットは?
掃除がしやすく、暖かさも感じられるユニットバスにはない在来浴室リフォームの最大のメリットはなんといっても自由度が高いことです。複雑な形状の浴室でも規格外の大きさの浴室でも在来工法であればつくることができます。
そしてデザイン性を重視したり、選ぶ素材によっては高級感溢れる浴室にすることもできます。
ユニットバスは規格の中で選ばなければなりませんのでオリジナリティのある浴室空間をつくることは難しいですが、在来工法であれば他にはない浴室をつくることもできるのです。
海外のようなバスタブを設置することもできますし、温泉のような総桧風呂を作ることもできます。このように自由に設計できる点が最大のメリットではないでしょうか。
まとめ
在来浴室のリフォームには費用と工事期間がかかる場合がありますが、お風呂を狭くしたくない、オリジナルの空間を作りたいなどの要望は叶えることができます。
疲れた体を癒す入浴タイムをより充実させるために、在来工法の浴室リフォームでこだわってみてもいいのではないでしょうか。