家の傾きを改善させる工法は、様々な種類があります。様々ある家の傾き改善工法は、地盤の状態によって適した工法が異なります。
中でも、工法の選定の際に注意すべき工法は、「耐圧板工法」という工法です。なぜ耐圧板工法は注意すべき方法なのか、詳しく解説していきます。
耐圧板工法とは
まず、耐圧板工法というのはどのような工法なのかを、ご紹介します。耐圧板工法は、基礎の下部分を掘り、耐圧板と台座を基礎下に設置して、ジャッキをかけて基礎を上げて建物を水平へと導く工法です。
50cm×50cm程度の鉄板の耐圧板を基礎の下に設置してジャッキをかけて、建物を水平にしたら高さを固定するための台座を耐圧板と基礎の下に設置します。
その後、埋戻しをして完了となります。工期は2~3週間ほどかかり、200~400万円程の費用がかかります。
地盤沈下した土地だと意味がない工法
家の傾きが起きてしまう原因の中に、地盤沈下があります。地盤沈下が自然に完璧に治まるこというのは、無いに等しいです。特に軟弱地盤は、年月が経っても地盤沈下が治まるということは考えにくいのが現状です。
耐圧板工法は基礎の下に耐圧板や台座を入れて高さを水平にするので、耐圧板や台座の重さも建物の一部として加わってしまいます。
さらに重くなってしまった建物の荷重が地盤にかかってしまうので、地盤沈下が少しでも治まっていなければ更なる地盤沈下は避けることができないといえます。
そのため、耐圧板工法は地盤沈下によって家の傾きが起きている建物には、不向きの工法といえます。
地盤改良後の土地の建物ならOKだが…
地盤沈下が原因で建物が傾いてしまった場合、地盤改良を行っていれば再沈下の心配は考えられません。
完璧な地盤改良を行った土地に建っている建物であれば、耐圧板工法の基礎の下に入れる耐圧板や台座が沈下してしまう恐れがないので、良いといえるでしょう。
しかし、完璧な地盤改良をしている土地というのは、残念ながら多くはありません。耐圧板工法を取り入れたい場合は、地盤の状態の確認と、軟弱地盤なら地盤改良の有無も確認するようにしましょう。
家の傾き修理の工法は特徴を理解し選ぶこと
家の傾きの改善方法は、各工法によって施工条件が異なります。工法の選定は、工法の詳細や特徴を良く理解した上で、選ぶことがとても大事となります。
現地調査を行う業者を選ぶ
家の傾きの見積もりを依頼する際は、事前に地盤調査を実施するのかどうかの確認が大事となります。そんなことは当たり前と思う人もいると思いますが、業者の中には地盤調査をせずに見た目だけで工法を決めてしまう業者もいるようです。
建物の沈下傾斜の改善工事を行う際は、適切な地盤の調査というのが大事となります。事前の地盤調査をせずに工法の選定や見積もりをするということは、本来有り得ないことなのです。
しかし、残念ながら一定の工法を行えば治まると勘違いして、地盤調査もせずに一般的な工法を選択してしまう業者というのは存在するようです。
選定した工法の根拠説明を求めること
家の傾きの改善の見積もりを取る際は、地盤調査の結果、どのような根拠でその工法を選定したのか、沈下傾斜の施工事例が多いのかなどを、チェックしましょう。
耐圧板工法は、適切な沈下傾斜改善方法です。しかし、それは地盤の状態により異なります。地盤に対して適切な工法を採用することは、とても大事なポイントとなります。
地盤沈下や軟弱地盤に建っている家の沈下傾斜改善を行う場合は、残念ながら耐圧板工法はオススメではありません。