出典:http://www.daiwahouse.co.jp/jutaku/visit/vol79/
一昔前とは違い、わたしたち日本人の家族のありかた、わたしたちをとりまく社会的な環境も大きく変わってきましたね。
そのせいか、従来のように1戸建て住宅の広さが50坪~60坪の家が少なくなり、今では30坪程度の平屋住宅が増えてきました。
家は一生の大きな買い物ですからメリット・デメリットを踏まえた上で納得のいく家造りで、家族の夢を形にしたいですよね。
そこで平屋住宅の30坪の間取り例について良い点・悪い点について徹底解説します。
平屋×30坪の間取りのポイント
一昔前とは違う! 今どきの住宅事情とは?
近年は、平屋で30坪の広さの一戸建て住宅に人気が集中していますが、どのような家族構成に適しているのでしょうか。
家庭の形は人それぞれ、4人家族の世帯もあれば夫婦2人世帯、大家族で暮らす家もあります。
一昔前は2世帯・3世帯の同居は当たり前でしたが、生活が豊かになり、家族の和よりもひとりひとりの「個」が尊重される時代となりました。そのため、核家族が増えてきて同居する世帯が大幅に減少してきました。
とくに平成の時代に入ってから生まれた人は、おじいちゃん・おばあちゃんと同居するケースが非常に少なくなっています。
核家族は今や当たり前、1世帯あたりの家族の人数は2人~4人が主流となり、平屋×30坪の住宅が増えてきたのは、そのような背景に基づいています。
そもそも30坪とはどれくらいの広さ?
わたしたちはふだん長さや面積を図る単位としてm(メートル)・㎡(平方メートル)をよく使います。
そのため、「平屋の30坪」と聞いてもあまりピンとこないかもしれませんね。その情報だけでは平屋の30坪が広いのか狭いのか、パッとイメージが浮かんできません。
一般的に、アパートやマンションなどの集合住宅でひとり暮らしをする人の適切とされる広さは、1室が狭い部屋で20㎡、広い部屋では25㎡といった基準です。
そもそも「坪」とは尺貫法での面積の単位であり、1坪あたりの広さを平方メートルで表わすと、3.3㎡です。
つまり、30坪の広さは約99㎡、ひとり暮らし世帯の一室の広さが25㎡とする場合、ほぼ4人分と換算して良いでしょう。
平屋×30坪なら4人家族までなら快適な住み心地
平屋×30坪の一戸建て住宅について、広いか狭いかと聞かれたら、「狭すぎて家族が窮屈な思いをして生活するのでは?」と思うかもしれませんね。
平屋×30坪の一戸建て住宅の面積の広さは99㎡・約100㎡ですが、ひとり暮らし世帯ならこの4分の1の広さが確保されていれば十分にゆとりがあるわけです。
そう考えると、平屋×30坪の一戸建て住宅は一世帯の家族の人数が4人までなら住み心地は快適と判断して良いでしょう。
これまで、ほとんどの一戸建て住宅が50~60坪の広さで4~6人家族が主流でした。そう考えると、むしろこのくらいの広さだと家が広すぎてしまいます。
その分、住まい造りとメンテナンス費用、固定資産税などに大きなお金を費やすことになってしまうのです。
高度成長期からバブル全盛期の頃とは違い、今では核家族が進み、住まい造りとメンテナンスに高額な費用をかけてもいられません。
平屋で30坪台の一戸建て住宅なら、少なくとも4~5つの間取りを確保することができます。ですから、平屋で30坪の住まいは4人~5人家族にピッタリと判断して良いでしょう。
もちろん、新婚早々で30坪・平屋の家を建てて、近い将来に子どもが生まれることを見据えた上で平屋×30坪の間取りにしても良いですね。
今の時代、平屋×30坪の間取りはとくに珍しいことでもなく、今の時代に生きる人たちの家族形態やライフスタイルやニーズにもっとも見合うのです。
平屋×30坪の間取りはどんな点に注意すべきか?
今や平屋×30坪の間取りが主流となりつつありますが、実際にその間取りで家を建てる場合、どのようなことに注意しなければならないのでしょうか。
今すぐにでも家を建てようと思い、家族の夢を形にしたつもりが、間取りの取り方が悪いことが原因で、家造りに失敗するようでは困りますよね。
平屋×30坪の間取りのメリットは、住まい全体の広さが普通の家よりも狭いので住まい造りにかける費用や家の維持費を安く抑えられることです。
しかし、メリットだけではなくデメリットも生じるので、その点をしっかりと踏まえておかなければなりません。
築年数の古い家だと50~60坪の広さが主流で、室内の収納スペースにも十分にゆとりがあります。
平屋で30坪となると4~5部屋を作ることは可能ですが、1室の広さにはもう少しゆとりが欲しいところです。
どの部屋にも家具やインテリア、ふとんなどを収納するスペースが必要です。平屋×30坪の間取りだと、収納スペースが十分に確保できない可能性もあります。
その分、ちょっとしたスペースを十分に活用するための工夫も必要です。たとえば、押し入れだけではなく床下に収納スペースを作ることも必要になってきます。
平屋×30坪の住まいて快適に生活できるように天井高にもこだわりを
平屋×30坪の間取りの家は、基本的に1階建てですから、高齢者がいる家庭にも向いています。
しかし、たとえ2人・4人世帯の家でも、平屋×30坪の家だと、ともすれば窮屈に感じられることもあります。
平屋を建てる時のこだわりとして、天井高にも注目してはいかがでしょうか。2階つきの一戸建て住宅の室内の天井高の一般的な目安は2.4m、高くても2.5mと言われています。
平屋で30坪の家の間取りを組む時には、天井高を2.5m以上にすると良いでしょう。
ふだんわたしたちは、住まいの天井高についてあまり意識することはありませんが、美術館や博物館、ショッピングセンターなどに行くと、開放感があり、リラックス気分になれます。
それは、全体的にキレイに装飾されていて見た目の印象の良さもありますが、それだけではありません。
天井高にゆとりがあると室内の換気も良くなり、開放的な雰囲気が感じられるのです。
平屋だと2階建ての家よりも高さが低くなってとしまうのは当然ですが、天井高にゆとりを持たせることで、圧迫感がなくなり、快適な住まい環境を生み出すのです。
ですから、平屋×30坪の間取りを作成する時点で、横の広さや収納スペースだけではなく、天井高にも十分に気を配ることが肝心です。
天井高を高くすることで室内は快適空間、そして家の外観はより広く高く大きく見せることができます。天井高にゆとりを持たせたほうが、室内に日差しが差し込み、明るく感じられます。
平屋×30坪の参考にしたい間取り図10選
平屋×30坪の間取り図についてぜひとも参考にしたい間取り図を厳選して10選ご紹介したいと思います。
30坪・3LDK×ウォークインクローゼット付き
出典:https://www.justhome.info/e9.html
平屋の30坪・3LDK×ウォークインクローゼット付きの間取りの特徴は、洋室は2部屋・寝室・洗面台・バスルーム・洗面脱衣室・トイレといった構成です。
30坪の広さでこれだけ多くの部屋ができるなんて、まさに感動的ですね。とくにリビングは家族にとって憩いの場所ですから、室内の広さには十分なゆとりを持たせています。
30坪の平屋建ての家に収納スペースを十分確保するために、ウォークインクローゼットや玄関口のクロークにもこだわりがあります。
収納スペースがしっかり確保されるので、室内の片付け・整理整頓も効率良くできます。
30坪・3LDK×ウォークインクローゼット付きの間取りで、リビングにおもむきを置くのは良いことですね。
家族のコミュニケーションの和を大切に、強い絆を生み出す快適空間が実現されます。
子どもが小さいうちはそれで十分に満足できますが、子どもが成長するにつれて、広い後も部屋が必要になるので、将来のことも見据えて間取りを決めると良いですね。
30坪・3LDK×広いリビングと和室付き
出典:http://www.justhome.info/e8.html
こらちは子どもがいる家庭向きの30坪・3LDKの間取りです。同じ3LKでもリビングの広さは圧倒的です。
家族団らん・憩いの場を基調としながらも、和室を組み込むことができるので落ち着いた空間です。和室の広さは畳4.5畳分、押し入れと収納スペースがあります。
床延べ面積は約101㎡、坪数は約30坪でこれだけのゆとりの空間が実現できるなんて理想的ですね。
30坪の広さで3LDK、リビングが広くて和室が1室あり、和洋折衷でバランスが良いのが長所ですが、リビングが広すぎる印象です。
逆にリビングの広い空間がどこか退屈で寂しく感じられるかもしれません。
室内にインテリアや観葉植物を置いたりして、スペースを埋めることでより快適な室内空間を醸し出すことができます。
30坪・3LDK×広いリビングと洋室2室・子育てに奮闘する新米ママに最適
出典:http://www.justhome.info/e7.html
こちらの間取り図は主寝室・ファミリーコンテナ・洋室2室・バスルーム・洗面・リビング・キッチン・トイレといった構成です。
床延べ面積は約102㎡・坪数は約30坪、リビングは広すぎず狭すぎずちょうど良いスペースです。
台所には昔ながらの勝手口があり、リビングからキッチン、リビングから洋室へとスムーズなので目が行き届きやすく、子育てに奮闘する新米ママにおすすめです。
この間取りにはあえて廊下は作られていませんが、その分、各部屋のスペースを広くとり、ゆとりを持たせています。
こちらの間取り図には、ファミリーコンテナがついているので、収納スペースが広いのがメリットではありますが、その分、2室の洋室のスペースがやや狭い印象です。
子どもが小さいうちは十分満足感が得られますが、成長するにつれてともすれば、狭いスペースに圧迫感が感じられるかもしれません。
30坪・3LDK×ウッドデッキのある快適住まい空間
出典:http://www.kamino-koumuten.com/e12.html
家族の年代・ライフスタイルに関わらず、新米ママ・育ち盛りの子ども・定年退職後のお父さん・高齢者がいる家族でも快適環境で住める家です。
30坪の広さでウッドデッキがついているので、高齢者がいる家では縁側でくつろぐような雰囲気でリラックスできる空間です。室内に木の温もりが感じられ、
室内に閉じこもっていると自然の風景の美しさを見逃してしまい、ギスギスした雰囲気になってしまうこともあります。
その点、こちらの間取りではウッドデッキのスペースを十分に活用しているので、外の緑の景色を眺めるのも良し、コンテナや鉢などを置いてガーデニングも思い切り楽しめます。
こちらの間取り図の床延面積は約100㎡・約30坪の広さ、その中にウッドデッキのスペースが盛り込まれているのは良いですね。
しかし、ウッドデッキが広い分、リビングや寝室、クローゼットなどの収納スペースが狭くなった印象です。
ウッドデッキのスペースを多少調節していけば、各部屋の広さにもゆとりが出てくるはずです。
各室の広さは横幅だけではなく、天井高にもこだわり、2.5m以上の高さにすると良いですね。
間取り図の作成から完成まで家族で納得のいくまで話し合い、理想の住まい造りを目指したいものです。
34坪・3LDK×リビングとダイニング一体型・シンプルな住まい空間
出典:http://www.daiwahouse.co.jp/jutaku/visit/vol79/
こちらの間取り図は、見た目にはオーソドックスで極めてシンプルですが、その中にも快適な環境で家族が住めるように工夫されています。
この間取り図の床延べ面積は約112㎡・坪数は約34坪、大きな特徴としてリビングとダイニングが一体化されたことです。
リビングには広い空間が欲しい、食器棚や調理器具、テーブルを置いてもゆとり空間が欲しい、そんな家族の願いを実現させてくれます。
シンプルさの中にも住まいとしての快適空間が保たれているのは、室内に設置する柱の数を必要最小限にとどめているからです。
この間取りではリビングとダイニングの空間を広くとってはいますが、その分、キッチンがやや狭い印象です。
主寝室は1室、洋室は2室ですが、各部屋の収納スペースにもう少しゆとりが欲しいところです。
34坪・3LDK×癒しの空間ウッドデッキと天井高
出典:http://www.daiwahouse.co.jp/column/lifestyle/and/vol32/live.html
こちらの間取り図は延べ床面積約114㎡・坪数は約34坪、キッチンとリビング・ダイニングを重視した住まい造りです。
もうひとつのメリットは、天井高により室内の採光性に優れていることです。
明るい日差しの中で家族で憩いのひとときを過ごす、快適で開放感あふれる住まい造りを目指せます。
リビング・ダイニング・キッチンに十分なゆとりのある広さですが、その分、和室や主寝室が狭くなっています。
プライベートで過ごす空間を快適な環境を保つには、各部屋の横のスペースにももう少しゆとりが欲しいですね。
30坪・3LDK×子どもの将来を見据えた快適空間
出典:https://www.justhome.jp/hiraya/
外見はごく普通の平屋の3LDKですが、実はこの間取りには徹底したこだわりがあります。
子どもがいる家庭では、乳幼児から幼少期、そして子どもが成人するまでの成長過程にも快適で健やかに育つための住まい造りを考慮する必要があります。
この間取りでは、一見シンプルな間取りですが、子どもの将来とともに家族のライフスタイルの変化を見据えて、部屋の仕切りが可能となりました。
たとえば子どもが2人いる家庭なら、幼少期は2人とも同じ部屋で過ごし、中学生になったら自分の部屋を持てるようにすることができます。
家族のライフスタイルに合わせて臨機応変に部屋数を増やせる、これは大きなメリットですね。
この間取図は、家族が快適に過ごせる住まい造りとともに、子育てに奮闘するママへの配慮もなされています。
しかし、部屋を2つに分けて仕切る場合、やはり洋室のスペースが急に狭く感じられることもあります。
洋室を2室に分けた場合でも、それぞれクローゼットがありますが、子どもの成長につれてクローゼットだけでは、収納スペースが足りなくなる可能性もあります。
31坪・4LDK×広々としたリビングと緑に囲まれた癒しの空間
出典:https://www.misawa.co.jp/kodate/guide/hiraya/plan.php#MJ0021
こちらの間取り図は4LDK・31坪で、家屋全体が緑の木々に囲まれていて、癒しの空間が演出されています。
和室が1室、キッチン・ダイニングともにゆとりの広さです。
高齢者にとっては、毎日緑の自然に触れることが認知症対策にもなりますので、高齢者がいる家庭に最適な住まい環境ですね。
緑の木々に囲まれて自然環境が豊かな中での暮らしは快適ですが、梅雨から夏、初夏の時期にかけては虫がよりつきやすいので、害虫対策が必要になってきます。
31坪の平屋なので住まい造りにかけるコストを抑えられる反面、緑の木々を維持するためのコストがかかるのが難点です。
31坪・3LDK・広い間口で開放感あふれる快適な住まい空間
出典:https://www.misawa.co.jp/kodate/guide/hiraya/plan.php#MJ0018
こちらの間取りは31坪の3LDK、玄関は北に位置しており、床延べ面積は104㎡の広さです。
小さなウッドデッキのスペースも設けられており、緑の木々を見ながらコーヒーやお茶を飲んでリラックス気分に浸れます。
自宅なのにまるでカフェテラスにいるかのような落ち着いた雰囲気で快適に過ごせる、そんな毎日を演出してくれることでしょう。
全体的によくまとまっていますが、洋室のスペースがやや狭くこじんまりとした印象です。
ウッドデッキ周辺に緑の木や草花を植える場合は、雑草などのお手入れも必要になります。
リビングは十分なゆとり空間ですが、トイレ・バスルーム・洗面所はもう少しスペースがほしいですね。
37坪・3LDK×家族の強い絆を作る快適な暮らしのある住まい
出典:https://www.misawa.co.jp/kodate/guide/hiraya/plan.php#MJ0005
こちらの間取り図は、全体的にL字型に配置しており、キッチンとダイニングは広いスペースです。
家族の「個」よりも家族の「輪」と「和」、そして強い絆を作る快適な住まい空間が演出されています。
癒しの空間としてウッドデッキと和室が1室、和室の広さは6畳の広さです。玄関は南側に位置しており、全体的に温かみのある雰囲気です。
家族でくつろげる快適空間が保たれる反面、各洋室が少し窮屈に感じられるのが難点です。
その分、天井高に十分なゆとりを持たせることで採光性が高くなり、開放感が味わえます。
まとめ
平屋×30坪の一戸建て住宅の間取りについて、お伝えしてきましたがいかがでしょうか。
この記事では、平屋×30坪の間取りの一例として紹介しながら理想の住まい造りを提案しました。
家を建てる時にどんな住まいにしたいのか、それは人それぞれいろんな形があります。家族の人数やライフスタイル、年齢、生活環境などによっても大きく変わってきます。
平屋×30坪の間取りについて注意点を挙げると、基本的にはワンフロアですから、家族の和を重視するあまり、プライベートな空間が保ちにくくなる可能性も考えられます。
30坪という限られたスペースの中で、家族ひとりひとりの希望とニーズに見合う住まい造り、それを実現するためには納得のいくまで家族会議を開いて話し合うことです。
家の間取り図は1度だけではなく何度でも取れるので、複数のパターンを作成してはいかがでしょうか。
平屋の家は縁側の代わりにウッドデッキを設置して、緑の自然と人の触れあいが楽しめる暮らしを実現させてくれます。
夫婦2人世帯でも4人世帯の家族、高齢者にもきっと満足感が得られることでしょう。