「今、自宅を売り出したら、いくらで売れるのか?」「住んでいるマンションの価格って、いくらなの?」いざ、自宅不動産を売るときの価格はどう決めれば成約につながるのでしょうか。
自宅を売却するには、まず不動産仲介会社に依頼して査定してもらいます。そこで出てきた査定価格を参考に自分の希望売り出し価格の額を検討して実際の売り出し価格を決めるのが一般的な流れです。
高く売りたいからといって相場を無視した売り出し価格を設定しても売れるはずはありません。逆に必要以上に低い額で設定して売ってしまうとみすみす損をしてしまうことになってしまいます。 そういう意味で成約につながる売り出し価格を決めるということは売主にとって非常に重要な決定事項なのです。
不動産の価格は3種類ある
「不動産の価格」は一般に次の3つの種類があります。
売り出し価格
新聞折り込みやポスティングされるチラシなどに記載されている価格です。売主が「この価格で売る」と決めた言わば「売主の希望価格」です。
査定価格
不動産会社が出す、売り出し価格を決めるに当たって参考となる相場の価格です。
成約価格
売主と買主との交渉の結果、合意して決まる価格のことです。つまり、査定価格を参考に設定された売り出し価格が売買交渉の結果で決定した取引価格のことです。
売り出し価格と査定価格
不動産会社へ査定を依頼する際は、複数の会社に依頼するのが基本です。しかしその会社が付けた価格が同じになるということはなく、相違がでます。
売る側とすれば最も高い価格を出してきた会社にお願いしたくものですが、それだけで売り出し価格が決まるものではありません。
不動産会社が査定価格を決める方法はいくつかありますが、最も一般的なのは「取引事例法」です。この方法は近隣物件での実際の取引価格つまり成約価格を参考に、相場を比較検討して決めていく方法です。
また「収益還元法」と呼ばれる方法の場合は、該当する物件不動産が将来的に生み出す利益をもとに、現在の価値を算出するという方法で、査定価格を検討します。ちなみにこの方法は投資対象の物件の場合に利用される方法です。
自宅の売り出し価格の査定の際は主に「取引事例法」が用いられますが、この方法では価格の背後にあるであろう売主の事情が考慮されないということになってしまいます。何とか早く売却したいと希望する売主もいれば、時間をかけてでもできるだけ高く売りたい考える売主もいます。
また、買主の方でも、多少高くても物件が気に入れば即買いたいと思う人もいれば、細かい点にいろいろと難癖をつけるなどして出来る限り安く買いたいという人もいたりします。つまり、その成約価格が実際に妥当な額であったかどうかは、取引の事例の情報だけでは分かりません。
そこで不動産会社は季節的な要素や背後の事情をいろいろと推測して、査定の担当者が妥当と考える判断する価格を出しくるのでそれぞれ会社によって査定価格に相違出るわけです。しかしながらそれでも、売り出し価格を決める上では不動産会社が出した査定価格が基準となっているのが実際のところなのです。
査定価格は希望より高い価格であれば良いのですが、たいていは、希望する価格よりも低いものになりがちです。売りに出すわけですから、売主が現れなければ困ります。かと言って、売れた後に「もっときちんと準備していればもっと高い値で売れたのでは?」と残念な思いはしたくありません。
それ故に、売り出し価格の検討は不動産の売却においては非常に重要な決定事項なのです。売主は、「希望の価格」と「現実に売れる価格」との差をできる限り縮めていく作業をしっかり行わなければならないということです。
まず、売主の立場での最安値の価格を考えてみましょう。つまり、これ以下の価格では売れない、売ってはいけないという最も安い価格です。具体的には、ローンの残高プラス売却の諸費用の合計額が利ざやゼロ、プラスマイナスゼロの金額ということです。
しかしこの価格で売れても次の住まいに必要な資金を作ることができず売却の意味は殆どなくなってしまいます。 この最安値価格、希望売り出し価格及び査定額との関係は次のような順番になります。大抵の場合は 「最安値」<「査定価格」<「希望売り出し価格」 となるのです。
売り出し価格を売れる価格にするには
査定額とあまりにかけ離れた高い売り出し価格で設定すると、不動産業者は「売りにくい物件」「厄介な物件」だと考えて積極的な営業をしてくれなくなることがあります。問い合わせも殆ど期待できなくなります。
その結果、売れそうもないと判断して値下げしてしまうと「この物件は売れないので値下げした」と思われてしまいます。
さらにそれでも買手がつかない場合は再度の値下げとなってしまうでしょう。すると買う方は次第に「まだまだ値下げが続くのでは?」と思うようになります。「ここまで下がったので買いだ」と思ってくれる方もいますが、多くの場合「まだ値下がりする、底値に達していない」と様子見の状態が続くことになると考えられます。
したがって最初の売り出す時が一番肝心で、最初の価格で成約につながるような価格帯に設定すべきなのです。値段の交渉の過程で値引きが発生するので、ある程度までの高めの設定も許容範囲ですが、買い手を引き付ける売り出し価格が必要とされます。そのためには買主の心理も考えた上での売り出し価格にする事が必要なのです。
希望価格で売るために
売主には、「いついつまでには売りたい」という目標の期限が必要です。いつまでも売れずに残っている物件というのは、それだけで「何かいわくがあるのでは?」と思われがちです。ますます売れにくくなってしまいます。
そうならないためには、いつまでに売るという期限は必ず決めておくようにしましょう。そのためのスケジュールと販売戦略が必要になります。
それは売り出し価格から最終的に許せる最低価格までを、時間軸に沿ってスケジュールとして当てはめていく作業です。そしてこの戦略を練る作業には不動産会社の知識と経験の力が不可欠です。したがって不動産会社選びは希望する価格で売るためには大変重要となるのです。
このスケジュールは売ると決めた時期や売主が抱えている諸事情によって変わってきます。そして不動産会社にとっては売主に対してどのようなスケジュールでどんな価格戦略を提案できるかが、その存在価値の最大の見せ所となるのです。
許容範囲と想定される値引きや売り出し価格を下げるタイミングをいつに設定するのか、最終的には売り出し価格をどのように設定すると最も効果的なのかという具体的な戦術やテクニックについては、実績のある仲介担当者の存在が頼りになります。
最初にこのようなスケジュールを決めて進めていけば、そのあとは安心して状況の進展を見ていく事ができるはずです。逆にスケジュールを何も決めずに成り行きに任せて動き出してしまうと、途中でなかなか売れない状況に陥って値下げを考え始め、「一体どこまで下げられたら良いのか」とか「最終いくらなら売れるのか」と不安になってしまいます。
成約につながる売り出し価格は、なるべく多くの客観的な情報をもとに不動産会社としっかり検討を重ねたうえで、総合的に判断して設定し、販売活動はスケジュールを決めて進めていきたいものです。